小学校作品「天満のとらやん」
狂言と和楽器の魅力を現代に生かした「とらやん」の決定版!
あらすじ
♪むかし むかし 大阪の 天満の町に住んどった のんきぼうずのとらやんが
まむし丼食べたいな うなぎを一匹買うてきて まな板の上にねかせて
きりでえいやっ!とつきさしたと 思うたら、
うなぎにょろりとにげだした!
「あっ こら まてえ まってくれ うなぎど〜ん!」
とらやん とらやん どこいくねん うなぎ追いかけどこいくねん
とらやんの冒険旅行 はじまり はじまり〜
スタッフ
- 作/かたおかしろう
- 演出/二世茂山千之丞
- 演出補/三世茂山千之丞
- お囃子指導/藤舎呂浩
- 美術・衣裳/谷ひろし(人形劇団京芸)
- 絵・製作/青木貞男
- 制作/澳利子
キャスト
- とらやん
- お嫁ん
- 老婆
- 傘屋
- イナビカリ
- 子ガミナリ
- 雷
- 新幹線
- 乙姫
- 侍女
- 漁師
- ……出語り太夫
【演出の言葉】
「こしらえもの」のお芝居………いわゆる「写実」的なお芝居だけがお芝居だと思うのはドンデモナイ間違いです。…………私の本職である
『狂言』や、その従兄弟の『能』、息子や甥・姪に当たる『歌舞伎』『文楽』、そしてヨーロッパの『オペラ』や『バレ
ー』、さらには『ミュージカル』では、歌や踊りや音楽が、普通の、日常性の中での言葉や動作以上の働きをしていま
す。彼等は観客の想像力に期待して、写実的な演技では表現しえない、虚構のみが出しうる演劇的な「真実」を、舞台
の上に醸し出すのです。そして、先入観に災いされることの少ない、イマジネーションに富んだ子ども達こそ、こうし
たお芝居にとって最も良い観客たりうるのです。
かたおかしろうさんの傑作歌芝居『天満のとらやん』を、私は出来るだけ「こしらえもの」のお芝居の面白みを味わ
っていただけるようなものにしたいと思っています。チョン・チョン・チョンチョンチョンチョン……。(※一部抜粋)
二世茂山千之丞
【ご挨拶】
この度劇団コーロさんより、祖父の二世千之丞が数十年前に演出した「天満のとらやん」を演出しなおしてほしいとお話を頂き、どうしようかと随分悩みました。他の誰かが描いた絵画に筆を足すことが難しいように、お芝居でも既に出来上がっているものに手を加えるのは困難な作業です。それが今までに何度も繰り返し上演されてきた名作となればなおさら大変です。それでもやらせて頂きたいと私の背中を押したのは、かたおかしろうさんと祖父が一生懸命こしらえたであろう「天満のとらやん」を、これからも末長く子ども達に見てもらいたいという思いからでした。台本や元の演出の良いところはなるべく残しながら、令和の時代の子ども達がよりすんなりと作品の世界観に入っていけるようお手伝いが出来ればと思っております。時代を超えて残っていくものの素晴らしさはきっと子ども達にも伝わると、室町時代より続く狂言を演じている私はそう信じております。 (2020年8月記)
三世茂山千之丞
プロフィール
本名茂山童司。1986年、『魔法使いの弟子』(NOHO劇団)で初舞台。これまでに『千歳』、『三番三』、『釣狐』、『花子』を披き2018年12月三世千之丞を襲名。
語学に堪能でNHK語学番組にレギュラー出演をしていた他、国内外でバイリンガル狂言公演を行うなど表現者としての新境地を切り開いている。作・演出を手がける「新作"純"狂言集マリコウジ」、コント公演「ヒャクマンベン」を主宰。狂言以外にも最近では2016年に「三代目、りちゃあど(オンケンセン演出)」、2019年「ゴドーを待ちながら(多田淳之介演出)」に出演。オペラの脚本・演出を手掛けるなど狂言師としての枠を超えて精力的に活動中。2019年第37回京都府文化賞奨励賞受賞。